九州電波通 - Q-shu DEMPA Dori. [dempa.info]・トップ ・時事雑感 ・特集 ・リンク/アンテナ ・当サイトについて
西鉄宮地岳線部分廃止特集 - 第2回1 2 3 4 5 6 7 
 2007年春に一部区間が廃止になる西鉄宮地岳線。
 その周辺をいろんな切り口で取材してみました。
 終着駅を撮りに行こう。宮地岳線の、終着駅を。
 太陽は下がりはじめの時刻だけど、三脚があればなんとかなるだろう。
 そう思って、家を出た。

ふたつの「古賀駅」から津屋崎へ
 津屋崎駅に行くルートはいろいろあるけども、今回はJRで古賀駅まで行き、そこから西鉄古賀駅へ徒歩で向かい、西鉄電車に乗ることにした。時間が無かったこともあるし、廃止区間の駅周辺の姿を見たい、というのもある。
 JRの快速電車を降りて、立派な橋上駅舎の改札を通って駅前広場に出る。北側にはスーパーマーケット。歩道付きの駅前通りを西へ歩いて行くと国道495号線(旧国道3号線)との交差点。ちょうど南の方からJR古賀駅行きの西鉄バスがやってきて、この交差点を曲がってゆく。

 西鉄古賀駅前にやってくると驚いた。駅のすぐ近くに築十年も無いようなマンションが建っているではないか。あたりを見回してみるとマンションの類の建物はいくつも建っている。乗客になり得る人間はそこらじゅうにあるのだ。
 けれども、殆どの人は西鉄を利用しないのだろう。それが証拠に、西鉄の駅前には一つの商店すら無く(強いて挙げれば一軒の医院くらいだ)、駅前の道も路地レベルの1車線道である。

 出札口で駅員さんに「津屋崎まで1枚」と告げて切符を購入。この一昔前まで当たり前だった切符売場の光景も、今ではかえって珍しいものになってしまった。構内踏切を渡ってホーム上に上がると、駅周辺に広大な空地があるのに気が付いた。恐らく貨物営業のあった頃の名残だろう、いまでは荒れ放題になっている。

 やってきた電車は300形。ラッシュ時だけ運行される3輛編成である。車体に備え付けられたベルを鳴らして発車。車内は立客はなく、かといってガラガラでもない。バス1台には収まりそうにない乗客数なのだが、バス移行になる4月以降はどうなるのだろうか。
 とはいえ途中駅で乗客は降りてゆき、「心の旅」が流れて津屋崎駅に着く頃にはすっかりガラガラになっていた。




3月までの日常
 津屋崎駅はいかにもローカル線の終着駅らしい、鄙びた駅である。2つの線路の先には車止めが置かれ、線路の終点をしっかりと守っている。
 駅前には、自転車が沢山。これだけ多くの自転車があるということは(幾分かは放置自転車があるとしても)少なくともこれだけの利用者はあるのだろう。ここで宮地岳線に乗り換えて、勤め先、学校、ショッピング…いろんな場所に出掛けては、ここに帰ってくる。それは、3月おわりまで繰り返される日常。
 その日常は、これからどうなっていくのだろう?
 …別に、どうにもならないのかもしれない。殆どの人達は、電車に乗る為に生活しているのではないのだ。電車がなければバスに乗るのだろうし、バスも無ければ遠くの駅まで自転車をこいで行くか、クルマで目的地へ行くようになるのだろう。


 電車はやって来る度に、わずかの乗客を下ろしては、貝塚へと折り返してゆく。
 その度にこの街は、少しずつ静かになっていく。

西鉄宮地岳線部分廃止特集 第2回 終 
著 者 紹 介D.Na - でぃ・えぬえい
当サイト「九州電波通」の管理人。
こうなる前に、もっと乗っておけばよかった、そう後悔しています。
トップ特集西鉄宮地岳線部分廃止特集
Copyright (C) 2000-2012 by Q-shu DEMPA Dori.