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昭和バスの終点へ - その1◆その1 ◆その2 ◆その3 ◆その4
 2006年11月に廃止になる福岡地区の昭和バスの路線に乗った記録。
 昭和バスの福岡地区の路線が大量廃止される─そんなニュースを見たのは2006年の初めだったか。その時は福岡地区からほぼ完全に撤退という内容であったが、沿線自治体等の意向によりそれは免れた。
 しかし、それであっても大量廃止という事実には変わりが無い。…そんな訳で、廃止される路線全てに乗るべくこの企画を始めたのであった。

下山門線 (博多駅-天神-姪浜駅-下山門駅-三陽高校 乗車時間1時間14分)

博多駅交通センター32番のりば
 博多駅交通センター3階、32番のりば。ここが昭和バスののりばである。博多駅交通センターは1階が一般路線バスののりばなのだが、それは西鉄バスにとってのハナシで、西鉄バス以外のバスは全て3階からの発車となっている。

三陽高校行きのバス
 今回乗る路線は「下山門線」。今や福岡都心に一般道経由で乗り入れる路線はこれだけになってしまった。
 伊万里行き高速バスが発車した後しばらくして、下の階より全面広告の富士重工製車体のバスが上がって来た。このバスが今回私が乗るバスである。私以外は誰も乗らない…かと思ったら意外にも3,4人乗り込んだ。


西鉄バスに囲まれたっ!ちなみにこの時右側と左後にも西鉄バスが…。まぁ「福岡ではよくあること」。
 定刻の15時32分に発車、バスセンターのスロープを駆け降りて大博通りへ飛び出してゆく。ここから姪浜駅北口の次の内浜までのバス停は乗車のみで降りる事が出来ない、いわゆる「クローズドドア」である。
 大博通りを真直ぐ進んで左に曲がって昭和通りへ。途中西鉄バスに囲まれたりしながら天神へ。天神からの乗客は…無し。バス停で停車して扉は開けるのだが、居るのは西鉄バスを待っている人だけなのだ。唐人町でやっとひとり乗車、西新周辺、藤崎周辺でもぱらぱらと客を拾う。結構このあたりからの乗客が多いようだ。

 そんなこんなで姪の浜バス停を過ぎ、姪浜駅北口へ。ここまで来てやっと西鉄バスの牙城から逃れられる、といった感じだ。ちなみに「姪の浜」「姪浜」の表記だが、住所表示と昭和バスは「姪浜」、駅名と西鉄バスは「姪浜」である。ただし昭和バスの姪浜駅のバス停は駅名に倣って「の」は無い。
 さて、その姪浜駅北口では今回見た中では一番の数の乗客で立客が。駅の高架をくぐり内浜、やっとここから降車可能に、地下鉄の車輌基地の南側をなぞるように通って下山門駅。意外な事にここで結構下車する人が居た。…ずっと地下鉄沿いなのに何故そっちを使わないんだろう?と思ったが、JRと地下鉄のそれぞれの初乗り運賃がかかってしまって鉄道は割高だからだろう。藤崎・室見からここ下山門まで鉄道で行くと2,3駅しか無いのに340円もかかってしまうのだ。


狭隘路で撮影したのだが…、これじゃあよく判らず。機会があればリベンジしたい所。
 下山門駅から南に折れて、昭和バスには珍しい団地路線の様相になる。団地路線らしく経路は曲がりくねっていて、下山門駅を右上の頂点とした「N」字形になっている。一旦南に下っていったかと思うとぐるりと引き返して狭い道をくねくねと。無理矢理2車線にしたようなヘンな道の幅一杯に走る。長崎のバスには負けるが狭隘路線と言ってもいいだろう。そんな道を抜けるとなんと筑肥線の踏切が!いくら団地路線といえ曲がりくねり過ぎだろう。
 団地をうろうろ走ってるうちに、生の松原団地バス停で私以外の乗客が全て降りてしまった。これから先の「ウエストヒルズ」には西鉄バスが姪浜駅と天神から真直ぐ路線を結んでいるのでこんな遠回りの路線に乗る物好きは居ないだろう。あ、いやここに一人居たか。ウエストヒルズに入っても回り道をして、終点の三陽高校を目前にして住宅地を通って西陵高校前を通過して終点・中村学園三陽高校へ到着。予定時刻の11分遅れで16時46分着。

今回乗車したバス。全面広告、LED行先表示が時代の変化を感じる。昭和バスと言えば後方幕が装備されてても「SHOWA」のロゴが出っぱなし、というのがかつては普通であった。


今宿-三陽高校線 (三陽高校-西陵高校-青木-今宿 乗車時間13分)
 ここまで来て引き返すのもなんなので、ここから廃止される路線の一つ、今宿-三陽高校線で今宿に出てみる事にする。

三陽高校バス停。左が西鉄、右が昭和のポール。厳密には西鉄は「三陽高校」バス停である。

昭和バスには珍しく同じ車種が。
 三陽高校バス停には数台のバスが駐車していた。昭和バスらしく仕様もバラバラ…かと思ったが、今乗って来た富士重工車体の車輌とほぼ同じ仕様のバスが並んで停まる。といってもこれ以外の車は全て大きさも仕様も違っているから統一感は無い。
 …と、天神からの西鉄バスが旋回場に入って来た。…周りを昭和バスに囲まれて肩身が狭そうだ。なかなかレアである。
 続いて博多駅行きの下山門線。私が乗って来たのとは違い、中型車体である。

[205]番西陵高校行きの西鉄バス

博多駅行きの下山門線のバス
 さて、その次が今宿行きのバス。さっき並んで停まっていた富士重工製のバスである。16時50分定刻、私以外に先ほどの西鉄バスからの乗り継ぎの人が乗った。さて、いざ今宿へ…と思ったら一旦逆方向へ、西陵高校前で数人の学生を乗せる。今は夏休みだが、普段は学生が多いのかも知れない。引き返して三陽高校前を通過、西九州道の下の202号線の更に下の細く曲がりくねった道を通る。青木で右に曲がって北の道へ、筑肥線を渡って終点今宿。17時3分着。13分間のミニ路線であった。

今宿行きのバス。上に書いたように下山門線と似た仕様の富士重工製、しかもライセンスプレートが連番(10-29と10-30)。…でもよく見るとバックランプの位置が違う。同じようで違うというのが昭和スピリット(謎)。


今回の旅の終わりに

今宿バスセンター。看板の「旅のうれしさ たのしさを…」「心はずむ 楽しい旅立ち」の言葉が泣かせる。
 今宿に着いて、筑肥線で帰ってもいいのだが、昭和バスで姪浜駅まで戻ってみよう。
 というわけで向かいの今宿バスセンターへ。
 中に入るとクーラーも無く、天井扇が生ぬるい風をかき混ぜていた。かつて掲げられていただろう大きな路線図は裏返しになっていて、目を凝らして見ると「深江」の文字や野河内線の路線が描かれているのが読み取れた。

 しばらく待っているとやって来たのは野北線の今宿野外活動センター行きのバス。これでもかと小型のバスであった。

野北線のバス。実はこの車輌に後日乗る事になるのだが…、それはまた別のお話。
 もちろんこのバスに乗る訳では無いのでもうしばらく待つ。そしてやって来たのは…、また富士重工。

姪浜駅行きの昭和バス。行先表示がLEDじゃなくて幕式、後面には装備されて無くて窓は広々…やっぱり昭和バスはこうで無くちゃねっ。
昭和バスは富士重工車体にこだわりがあるようで結構多いのだ。こだわってるんだけど全て統一せずにメーカー純正や西工もあるのが…昭和らしい所である。
 乗ってみて気が付いた、降車ボタンがチャイムじゃ無くてブザーだ!…わざと仕様を違えているのかと勘ぐってしまう。

長垂海岸を行くバス
 今宿から福岡に向かう旧国道202号線は私の好きな道の一つだ。特に長垂海岸の風景は好きで、この区間のバスも廃止されてしまうのかと思うと悲しくなる。
 バスはしばらくして終点姪浜駅北口に。次はどの路線に乗ろうかな、と思いながら地下鉄の改札へ向かうのであった。
昭和バスの終点へ その1 終 
その2へ続きます〜。
著 者 紹 介D.Na - でぃ・えぬえい
当サイト「九州電波通」の管理人。
実は趣味以外で昭和バスに乗った事が殆どない人。
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