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NATURAウェブモニターレポート ─西 方 光 魔 郷─
 世の中に出回っている多くのカメラ・デジカメには、フラッシュというモノがついています。
 暗い所でも写真を撮る為に装備されているのですが、自動的に発光してしまうものが多く、逆効果となってしまうこともあるオソロシイものなのです。
 例えば…、ペットの写真を撮ったら目玉が怪獣のごとくギラギラと輝くなんてのはまだ良い方で、水族館の水槽の前で記念撮影をしたら魚では無くアクリル板と記念撮影していたり、ホテルから夜景を撮ったらばガラス窓のヨゴレを克明に描写したステキ写真になってみたり、人垣からネオンを撮ってみたら前に居た人の後頭部の発毛状態が手に取るように分かるリアル写真になってみたりなどなど…。※1
バナナは商品に含まれていません。
 さて、長い前フリを経まして紹介するのが、富士フィルムの「NATURA 1600」というフィルム、そして「NATURA S」というカメラでございます。…そう、このカメラはデジカメでは無くフィルムカメラ。
 フィルムカメラってっと前世紀の遺物みたいなイメージをもたれる方も多いかもしれませんが、このカメラは前世紀の遺物どころか、先に挙げました問題を解決し、デジカメでは撮れない世界が撮れるカメラなのです。
ネタが分かる人だけが分かるネタ。というかうちのサイトこんなんばっかやね。
経緯とか。
 えええと、このカメラ実は購入したわけではございません。じゃあ拾ったとか錬金術で錬成したとか召喚したとか盗んだバイクで走り出したのかってーとそうではなくて、富士フィルムさんがウェブ上にてモニター募集をやってございましたので軽い気持ちで応募してみましたらモニターに選ばれてしまった、というわけでございます。
 応募する時にウェブサイトのアドレスを書く項目があったので、富士フィルムさんはこの萌えだの無茶なバス旅だのやってるヲタクサイトをご覧になられたハズですが…いいのかなぁ。実は今、かなりビビり上がって文章書いてたりします…。

長崎ランタンフェスティバルを撮ってみよう。
 やっぱり写真を撮るなら長崎だよねということで。折しもランタンフェスティバル期間中でしたので夜景に強いことを試すのにも最適でしたので。ところが仕事が休みの時に限って雨が多く、やっと行くことが出来たのは会期も終わりに迫った2月21日のことでした。駅前で定点的な写真を2枚。…ちなみに昼から夜までの間はバスオタクっぽい旅をしてました…。やっぱ長崎バスはワンステよりもツーステの塗色の方がイカスよねやっぱり前後扉の方がカッコイイよねLEDより青地に白の字幕の方が見やすいよねポポルの造形って割といい加減だよねとかそーいう話は今回は自粛。

 さて、この写真を見てピンときた方もいらっしゃるかと思いますが、このカメラのレンズは24mmの広角レンズであります。※2歩道橋の上から撮ってもこのように広い範囲を撮ることができます。…ただ欠点があるとすれば、ちょっとでも水平が傾くと目立ってしまうこと。この写真も傾いてて、気になって気になって…。私の注意力不足というのも有るのですが、このカメラ残念ながらファインダーがあまりよろしく無い。コンパクトさを犠牲にしてでももっと良いファインダーを装備すべきでは、と思いました。

 そしてこのカメラのレンズの凄い所は、24mmの広角でありながらF1.9という明るさを備えていること。※3しかも決してバカ高い値段では無く、普通のコンパクトカメラの値段というのがまた凄い。
 このカメラにISO1600の高感度フィルム※4を装填すると自動的に「NPモード(NP=Natural Photo)」っちゅうフラッシュを使わないモードになります。…というか、このカメラはISO1600のフィルムしか使わない想定なのか、NPモード以外はぞんざいな扱いです。公式サイトでフラッシュの欠点を挙げているのに、NPモード以外では自動フラッシュになってしまうという…(フラッシュ禁止にしても設定は保存されない)
 まぁそれはともかく、明るいレンズに高感度フィルム、まさに鬼に金棒といったところであります。右のような夜景は楽勝でこなす上に、肉眼でも薄暗く感じるような所ですら手持ちで写し止めていたのは流石…というより驚異的ですらありました。

 さて、路面電車にのって築町電停で下車、新地中華街へ向かいます。

 4つ挙げた写真で気になるのが、左下の写真。薬局の看板なのですが、何故か鐘と…航空機のプロペラなのです。どこかにいわれでも掲げてあるかと思って探してみたのですが見当たらず。


 去年来た時も感じましたが、これらのランタンからは得体の知れない中国パワーが伝わってきてイイ感じであります。
 この写真を撮る時は結構人が多かったのですけど、ここでも広角の便利さを実感。普通のカメラだとフレームに入り切らず被写体から離れて撮らなければならないようなものも、近付いたまま撮れるので周りの人々に迷惑をかけずに済むのです。
 中国と言えば某弾幕シューティングのキャラだよねなどとオタク思考をしよりましたら、なんだか孔雀のランタンが東方シリーズの弾っぽく見えてきたので思わず撮影。「電飾とは弾幕である」などと謎主張。

 さて、今回ランタンフェスティバルを撮るにあたって、どうしてもチャレンジしてみたい場所がありました。去年来た時はあまりの暗さにどうしようもなかった場所。あの時は「次来る時は三脚を準備してやる」と心に誓ったものです。しかし今回、私は三脚なんて持ってきておりません。そう、この借りてきたNATURAで一発勝負をかけてみることにします。
 その場所は崇福寺。路面電車に乗って正覚寺下で下車、レッツゴーでございます。 
 見せてもらおうか、富士フィルムのナチュラの性能とやらを!
 楼門をくぐると、妖しく灯る赤提灯が進むべき道をかすかに照らしています。不安と期待がごっちゃになった不思議な感情にとらわれながら、足を踏み外さないように、ゆっくりと階段を登ってゆきます。
 階段を登りきると目の前に拡がるのは、ずらりと敷き詰められた赤提灯。その光はまるで空気の色を変えてしまったかのようにあたりを真赤に染めています。メイン会場の極彩色の空間とは違う魅力ですね。あ、こんな所に大釜なんかあったんだ…去年は気付かなかった。
 試しに手ぶれ補正付きのデジカメで撮ってみたのですが、ぶれた写真ばかりであえなく玉砕。流石にこれはNATURAでも無理かな…と思いながら何枚か撮ってみました。
 結果はちゃんと写ってるのと露出不足が半々、といった所。露出不足でありながらも手ぶれした写真は全くなく、これはこれで面白い絵になりました。妖しげに提灯だけが浮かぶ写真、なんだか妙にお気に入りです。
 この崇福寺は超お薦めです。メイン会場の人の多さに疲れた時に行ってみてはどうでしょうか。ちょっと遠いのが難点ですけどね。あと唐人屋敷会場も微妙にお薦めだったり(今年は行けなかったなぁ…)。



 さて、いつものように最終のかもめ号でさようなら…の前にちょっと長崎駅を撮ってみました。何度もこの場所から長崎駅は撮っているのですけど、今回のカットは今までの中ではベスト…かな。手前に柵が写っちゃったけど、これはしょうがないですかな。

ついでに福岡の夜景も撮ってみよう。
 さて、長崎から帰ってきたはいいけれど、フィルムの残りがまだあります。この辺がフィルムカメラの欠点と言うことになるんでしょうが…。さて、何を撮ろうか…なんて考えてるうちに2月末、モニターの期限が迫っているじゃあありませんか。…という事でバスは大博通りを真直ぐと、昭和通りを過ぎてもなお北へ。
 やってきました博多埠頭、通称ベイサイドプレイス。こんな寒い時期に観光目的で来る人間なんていないようで、閑散とした雰囲気。
 水中にある照明がなかなか幻想的な雰囲気…ではあるんですけど、実際に海面を覗き込んでみると萎えます。何故ってゴミが浮かんでるのが良く見えるから…。
 右の博多ポートタワーの写真、かなり暗かったのでダメ元で撮ってみたのですが、なかなかどーして写っているじゃありませんか。流石にここまで暗いとノイズが酷くなってくるんですけどね。
 私が撮りに行った時は、玄海島への最終便の案内中。そう、この間の地震で甚大な被害を被った玄海島です。あの時すれ違ったサラリーマン、学生、おばさん…あの人たちは今頃どうしてるんだろう…。そんな事をこの写真を見ながら思うのでありました。
 何気なく撮った写真でも、後から見返すと別の意味や感情が生まれてくる。これも写真の面白い所ですね。

 最後にキャナルシティ博多の写真を撮ってみました。こういう場所の雰囲気を表すのには広角レンズが一番ですな。キャナル沿いに並ぶ屋台の柔らかい光がお気に入り。
 あ、おわかりかと思いますが建物がまっすぐに見えないのはレンズの歪曲ではなくて元々こういう形の建物だからです、念のため。歪曲収差テストに使えない場所ナンバーワンですね…。

まとめ。
 「よく写る。」…一言でいうとそんな感想です。フィルムカメラの底力を見せつけられたという感じです。
 夜景の撮影というと、一眼レフに三脚…というイメージがありますが、このカメラ(とフィルム)はそれを手持ちで、安価に、そして気軽に写し取ることができるのです。
 ただ、フィルムカメラという点が、今や多くの人にとってマイナスポイントになってるんですね…。
 昔は何とも無かったのに携帯電話を常に持っていないと不安で仕方が無くなってしまったように、写真を撮った直後に液晶画面で確認しないと不安になるようになってしまった。ファインダーを覗いて撮影するなんて面倒で仕方が無い、時代遅れ、と思っている。
 …そういう人々にどうやってフィルムカメラを売っていくか。これはこのカメラに限らず、フィルムカメラ全体にいえる課題では無いでしょうか。現状のままでは衰退するのを待っているようなものですから…。
 例えば今回のようにモニター企画をやるのは非常に良い事だと思います。今回だけで終わらず、今後もいろいろな企画を続けていって欲しいものであります。


※1…「フラッシュを発光禁止にすればいい」という意見もありましょうが、手持ちでの撮影は厳しいものがありますし、三脚を立てての撮影にしても写真を趣味にされる方なら兎も角、多くの方にとっては三脚を持って行く時点で面倒なように思います。
 「写真を撮りに」出掛ける人より、出掛けたついでに「写真を撮る」人の方が圧倒的に多いはずですし…。
 …ってなことをだらだら書いてたらやたら長い前フリになりましたので脚注と言う形でここに。

※2…広角レンズとは簡単に言うと広い範囲を撮れるレンズの事。24mmという数字は焦点距離を表したもので、数字が少ない方が広角となります。一般的なデジカメに装備されてるレンズは35mm〜105mm"相当"近辺をカバーするズームレンズが多いです。
 デジカメの広告では「○倍ズーム」という表記をよく見かけますが、あの数字はあまりあてにならない上に、風景を撮るのにはあまり役に立たない事が多いのです。観光地の建物を撮る時に画面内に入りきらず、後ずさりして歩いてる人にぶつかったり、後ろは壁や柵で下がれなかった、という経験がありませんか?

※3…レンズの明るさとはレンズが光を取り込める量を表した数値で、数字が少ない方が明るいレンズす。普通のデジカメのレンズの明るさは広角側でF3.0くらいの物が多いです。
 明るいレンズの方が光を多く取り込める分シャッターの速度をあげることが出来、ブレを防ぐことができます。

※4…感度とは、フィルム(デジカメならCCD)が光を感じる度合いのことで、数値が高い方が高感度となります。感度が高い方がエロ…もとい暗い所で有利なのですが、どうしても画質が悪くなってしまう傾向があります。同じ感度で比較するとデジカメはどうしても見劣りする面があります。
著 者 紹 介D.Na - でぃ・えぬえい
普段はこの欄テキトーに書いてるけど、今回は比較的マトモな紹介を。
九州は福岡在住のニート兼アルバイター。趣味は写真…ではなく鉄道とか漫画とか(いわゆるオタクという奴ですな)。
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