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まったり福岡案内(仮)特別編 - 超初心者的博多祇園山笠。
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 さて、折角のお祭なんだから知識だけじゃ勿体無い、実際に見に行かないとね。
 …というわけで、続きまして山笠を実際に見に行く為の解説なのです。


基本的な事項。
 山笠は古くからある神事ということもあって、近年作られた「イベント」的お祭のような親切さはありません。例えばメインイベントを土日に合わせて日程を決めたりしないし、会場に大きく立て看板を立てて案内することも殆どありません。

パンフレットにはいくつかの種類があります。カラー刷のものの方が分かり易くてお薦め。(写真:2005年)
 …なんて書くと全く手がかりも無いみたいですが、そうではありません。市内各所にある飾り山のそばや、博多駅の観光案内所には山笠のパンフレットがあって、日程、飾り山の場所や山のコースの地図が載っています。これを頼りにすれば、たとえ迷ったとしても地元の人にパンフを見せながら解説してもらえば大丈夫でしょう。…というわけでこの項はおしまい!
 なワケ無いのです。パンフレットでは分かりにくい事や、書かれていないことを中心に解説していきたいと思います。


日程についてのお話。
 山笠のパンフレットには、7月1日から15日までの行事の日程が書かれています。ところがぱっと見どれが大きい行事なのか分かりにくい。なので強弱を付けて以下に書いてみます。
7月1日〜7月14日夜まで飾り山公開期間 
    7月1日 夕方   当番町お汐井取り 
    7月9日 夕方   お汐井取り 
  7月10日 夕方  流舁き 
  7月11日 早朝  朝山
 7月11日 夕方  他流舁き
 
7月12日 午後3時59分〜追い山ならし
7月13日 午後3時30分〜集団山見せ
  7月14日 夕方  流舁き 
7月14日深夜 午前4時59分〜 
(7月15日未明)
追い山
日付の前のをクリックすると各行事の解説にジャンプします。
 さて、それでは主な行事を紹介していきたいと思います。


飾り山には写真の「ドラえもん」のような風変わりな物もあります。このドラえもんの造形が微妙で…(笑)(写真:2004年の十四番山笠川端中央街)
飾り山公開 (7月1日〜7月14日夜まで)
 前のページで紹介したように、動かない山「飾り山」が公開される期間です。展示されている場所は各種パンフレット類に載っています…って、飾り山のそばに行かないとパンフレットは無いんでした。
 じゃあ、パンフレット無しでも行ける場所を紹介。JRで博多駅に来られるなら駅の博多口にある山「博多駅商店連合会」が便利でしょう。高速バスや西鉄電車で天神地区に来られるなら、駅に隣接する「ソラリア」にある山がお薦め。ここは毎年山笠の歴史等のパネルも展示しているので特にお薦めです。航空機で福岡空港に来られたり、船舶で博多港に来られた場合(居るのか?)なら、バスもしくは地下鉄(空港のみ)で博多駅なり天神なりに行って下さい〜。
 飾り山公開の注意点としては、公開が14日夜までということ。追い山前に時間潰しに見ようと思っても、飾り山は既に解体作業が始まっているのでお気を付け下さい。

追い山ならし (7月12日午後3時59分〜)
 途中の日程を飛ばしていきなり12日。これまで各流ごとバラバラに動いていた舁き山が、その年初めて同じコースを走ります。「追い山」の「ならし=慣らし」、すなわち追い山のリハーサルとして行われる行事です。リハーサルとはいっても、時間帯が昼間であることと、追い山のコースのラスト1キロほど手前で廻り止(終点)になること以外は追い山とほぼ同じです。

ここで「追い山」「追い山ならし」に共通する行事内容を説明しましょう。
 追い山・追い山ならしは神事であると同時にタイムレースでもあります。とはいってもタイムレースはあくまでも要素の一つなので、勝負をどうこう言うものではありません(紅白歌合戦的なノリ…といえば分かり易い?)
 行事は一番山から八番山までが順番に「基本的に」5分おきにスタートしてゆき、最初の「櫛田入り」(櫛田神社の境内へ入ってから清道旗をぐるりと廻って出るまで)の時間と、全コースの時間が計測されます。計測された時間は逐次、櫛田神社境内にて放送されます(タイムがよければ歓声が上がります)
 コースはヘアピンあり、狭隘路あり、直角カーブありの約5km(追い山ならしは4km)。なおコースは各種パンフレットに載っています。
 一番山から七番山までは全コースを走りますが、"動く飾り山"の八番山「上川端通」のみはコースの途中までしか走りません。
 コースを走り終えた各山は、それぞれの山小屋(「山」の小屋)に戻って行き、行事は終了となります。

集団山見せ (7月13日午後3時30分〜)
 最初に言っておきますが、この行事はあまりお薦め出来ません。
 …というのも、この行事は戦後になってから「観光対策」として始められた行事で、神事では無いからです。当然舁き手のやる気と言うのも違ってきます。
 一応行事を説明しますと、舁き山がこの日に限って那珂川を渡って「博多」から「福岡」に入ります。コースはパンフレットを見れば分かりますが、広い道をほぼまっすぐ行くだけで面白みがありません。
 さらに、地元の知名士が「台上がり」を務めます。「台上がり」とは山に乗って舁き手を指導する役目の事です。いわばオーケストラの指揮者です。それを山笠に関しては素人の知名士が務めるわけです。…なんとなくお分かりいただけたでしょうか…山のスピードは落ち、広い通りをふらふらと…。
 まぁ、そんなわけでこの日の行事はお薦めできないのです。スピードが遅いから「撮影向き」とでも言っておきましょうか…。

追い山 (7月14日深夜[15日未明] 午前4時59分〜)
 さて、博多祇園山笠のクライマックス!この行事を「追い山」と紹介しているものもありますが、地元の人はこんな呼び方しないように思います。
 そして開催時間を最も説明し辛いのもこの追い山。14日の深夜であり、15日の未明です。前項でも述べましたが朝にはほとんど終わっています。その時間帯もあって、会場は異様な熱気に満ちています。

潔さの証明の一つが西流の山崩し。男達が山の上に昇ったかと思うと1分足らずで飾り物が崩されてしまうのです。(写真:2004年)
 行事の内容は「追い山ならし」の項目で説明した通りですが、違うのは最後に山小屋の場所まで戻った舁き山はすぐに崩されてしまうことです。山小屋自体も午前中にはすでに業者が解体作業を始めています。16日には、昨日まで祭があっていたとは思えないような日常に戻ります。こうやって潔く終わるが博多っ子の美学なのです。

その他の行事について
 これまで紹介してきた行事以外にも山笠の行事はいろいろあります。それらは各流れの地域内で行われるものがほとんどで、山のコースもパンフレットの地図には示されていません。従ってこれらの行事を見るのは非常に困難と言えるでしょう。しかし、それらの行事には本当に地元の人々に密接した祭の姿があります。もし機会があればこういった「小さな」行事を見てみるのも悪くないかもしれません。

 さて、続きまして山笠のハイライト、「追い山ならし」「追い山」のオススメ見物スポットを紹介なのです。


山笠を見物するにあたっていくつか注意していただきたいこと。
 さて、日程も分かったところで実際に見物だ…の前に、見物の際に注意していただきたいことを書きます。

警備員や、締め込み姿の人の指示には従って下さい。
 当然のことではありますが念のため。
 突然怒鳴られてムッとくるかもしれませんが、みんな祭の安全な遂行の為に必死でやってることなので大目に見てあげて下さい。あと、言葉の内容が強度の博多弁で意味不明な場合もあるかもしれませんが、周りの他の人行動等を見てガッツで判断して下さい…。
 そうそう、博多弁とは別に山笠独特の「前切れ!」という言葉があります。なんとなく分かるかもしれませんが、これは「山のコースの前を開けろ」という意味です。


「勢い水」の例。これはホースから直接かけてますな…。バケツでかける例も多いです。(写真:2004年西流)
水しぶきがかかることがあります。
 山が走る時には「勢い水(きおいみず)」という水を常にかけています。これは路面を濡らして山との摩擦を減らしたり、舁き手の身体を冷やす為に非常に重要な水です。一見水道水に見えますが、実際水道水です(もうそれは魔理沙なみに)
 まぁ、そんな風に水をかけるわけですから観客もに多少水しぶきがかかることもあります。びしょ濡れになることは殆どありませんが、ほんの少しでも濡れるのが嫌だ!という人は山笠見物には向いていません。むしろ水しぶきがかかって喜ぶ位の方がナイスです。


「追い山ならし」と「追い山」のオススメ見物スポットの紹介!
 いつまでだらだらと蘊蓄語ってんだよとお怒りの方、大変お待たせしました…。
 先ずは下の地図をご覧下さい。図の真ん中を縦に貫く「大博通り」の下の方が博多駅側となります。赤のラインは追い山ならし、 追い山のコースです。
 さて、博多祇園山笠といえば櫛田神社のお祭な訳ですが、私のお薦めには櫛田神社周辺は入っていません。何故か。…あまりにも人が多すぎるからです。具体的に示すとこんな感じです。↓

これは「追い山ならし」の時の写真。流石に「追い山」の時は怖くて行くことが出来ません…。中央に見える台はテレビカメラ用。(写真:2004年)
 慣れた人ならともかく、山笠初心者の方がこんな所に行っちゃダメです。人込みにもみくちゃにされてしまうだけです…。
 そんな訳で初心者向けに、博多駅からそんなに遠く無く、かつ山笠の面白みのある場所をピックアップしてみました。地図上の番号に対応して「その(1)」から「その(3)」まで。

その(1)…東長寺清道(祇園町交差点周辺)
 山笠を全く見たことが無い、という人にはここをお薦めします。地図を見れば分かりますが、ここでコースが東長寺の前を通る為に大きくカーブしています。この大迫力ヘアピンカーブがお薦め理由の一つ。そして博多駅から大博通りを真直ぐ行けばこの場所という場所の分かり易さ、大博通り上が交通封鎖されている間は会場が非常に広いこともお薦めの理由です(ただし交通が完全に封鎖されるのは追い山の時のみ)。
 さらに地図上の(1)'地点では市内をぐるっと廻ってきた山が狭い道に入っていく姿が見られるという、ひと粒で2度美味しい場所でもあります。

 この場所への行き方は、博多駅から「大博通り」を真直ぐ直進していくだけです。地下鉄で来るならば祇園駅で降りて、[1]出口か[2]出口です(追い山ならしのみ。追い山ではお薦め出来ません…後述)。すると、道路の真ん中に「清道旗」という赤い旗が立っているはずです。この旗が立っている場所こそが山がヘアピンカーブしていく地点となります。
 追い山の際は、大博通り上の交通が完全に封鎖されますので広い通り上で見物が可能です。ただし、七番山が通った後に注意が必要です。八番山笠上川端通ここから大博通りを北へ進むので、そのコースを開ける為に観客の大移動が発生します。この大移動の後、巨大な八番山が姿を現わすのです。

その(2)…承天寺清道
 (1)以外の場所で見たいな、なんて思った方はこの周辺がお薦め。国体道路から一旦承天寺の前に立ち寄って、それから同じ道を引き返すという特殊なルートです。また、ここから旧東町通りの狭い道に突っ込んで行くというハラハラドキドキな場所でもあります。

 行き方はやはり大博通りを直進して、祇園町交差点で右へ。するとナナメに道が合流してると思いますのでその場所です。
 注意点としては、この地図上で斜めに示されている道路は交通封鎖されておらず、山が通らない時は車が通るということです。それから承天寺の前のヘアピンカーブ、この部分は東長寺と違ってかなり狭いのであまりお薦めできません。

その(3)…旧東町通り
 狭い道を驀進する山の姿を見たいと思うならこの場所がお薦めです。(1)の場所からそんなに遠く無いので、途中で場所を変えようかな、という場合にも。
 ただし狭い場所なので見物には細心の注意が必要ですし、勢い水がかかることもあるのでそのへんは覚悟して下さい。

その他細々とした説明。
 追い山ならしは昼間ということで、それほど注意点は無いのですが、追い山は夜中ということでいくつか補足的に説明を…。
 一応追い山に合わせて県内各所からの臨時電車・臨時バスが運行されていますが、これらを利用すると到着時刻が追い山開始約30分前と、遅くなってあまりお薦め出来ません。できれば1時間前くらいには見物場所周辺に居る方がいいでしょう。
 ですので、終電で博多駅に行って、それからインターネットカフェ等で時間を潰すのをお薦めします。あるいはこの時間のうちに櫛田神社に参拝するのもいいでしょう。追い山前の緊迫した雰囲気は独特のものです。
 ちなみに…西鉄電車の終電で天神へ行くというパターンもありますが、一つ問題があります。夜の中洲の街を通り抜けなければならないのです!夜の歓楽街に慣れてる方ならともかく、一般人(?)にはちょっと。私も止むを得ず夜の中洲を通ったことが数回ありますが、毎回イロイロとコワかったです…。


八番山笠「上川端通」スペシャル!
 さて、ここから先は他の舁き山とは違う「上川端通」について解説なのです〜。

経緯とか概要とか。
 前項で書いたように、本来山笠は10メートルほどの高さにもなる巨大なものを舁いていたのですが、明治期になり路面電車や電信線が市中に張られるようになった影響で半分以下の高さになってしまいました。
 戦後山笠が再興されても舁き山は低いままでした。もちろん高い舁き山の姿をもう一度見てみたいという声は少なからずあったでしょう。でも電線より高くなんて出来ようもありません。
 そこに画期的発想をする人が居ました。
 「電線が邪魔なら、山の高さを変えられるようにすればいいじゃない」
 …あんな巨大な物の高さを変えれられるようにするなんて無茶なハナシです。ところが、精巧なカラクリで実現させてしまったのです!しかも安全かつ、迅速に変形出来るという素晴らしさ。
 この偉大な発明のおかげで、博多の街に巨大な舁き山が戻ってきたのです…。

 現在この山は「追い山ならし」と「追い山」の時に、七つの舁き山がスタートした後、八番目の山として登場しています。ただし流石に全コース走るというワケにはいかず、特別のルートを通るようになっています。
 ちなみにこの山は「走る飾り山」なんて呼ばれているのですが、何となく変な感じです…。

 言葉だけじゃ変形がどのようなものか分からないと思いますので以下に写真で紹介します。

これが「上川端通」変形の写真。右から左へと変形してゆきます。上っぱを出し入れするだけではなく、全体が競り上がるようになっています。最後に旗がひょいっと出てくるのがユーモラス。(写真:2004年)
 このような変形を数回繰り返しながら、この山は舁かれています。

上川端通コース紹介。
 電線の地中化が進んでいる今でも、まだまだ市内には電線が残っている所も多く(変形機能をもってしても路地の低い電線には対応できない)、上川端通は「追い山ならし」「追い山」の全コースを走ることが出来ません。そんなわけで、この山は特別なコースを辿っています。
 では、コースの要点を紹介しましょう。
 まず、八番目の山として櫛田神社境内をぐるりと櫛田入り。高さはもちろん上昇位置。境内の入り口にある木の枝にかするほどの巨大さです。
 櫛田入りの後、国体道路に入る前に一旦停止、山の高さを下げます(A地点)。そして下降位置で国体道路の信号機を避けて進みます。
 国体道路から大博通りに入る前に再び停まり、ここで山を高くします(B地点)。この時はもちろん歓声、拍手喝采でございます。そこから東長寺の前の清道旗をぐるりと一周!その後他の舁き山とコースが重ならないようにしばらく山を留めます(C地点)。
 それから大博通りを北上、交通案内板や信号機を避けるために右へ左へ。左折する前に高さを下げ(D地点)、川場商店街の方へ戻ってゆきます。


 以上、下手な文章ではございますが博多祇園山笠について基本的な紹介をしてみました。
 しかし、山笠の魅力はこれだけではありません。
 このページをご覧になられた方が山笠に興味を持ち、そして見物に来ていただければ幸いです。
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